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2013年10月28日 (月)

「あまちゃん」チーフプロデューサ訓覇氏のワークショップの受講レポート 【第3部】

【第3部】

 

 20131027日(土)、恵比寿ガーデンプレイス内の東京都写真美術館にて、「あまちゃん」のチーフプロデューサである訓覇圭氏のワークショップが開催された。その第3部のレポートです。

 

 

 

 

 

 

 

 第3部では、受講者からの質問に、訓覇氏と吉田氏が応答する時間となった。

 

 

 

 

 

 

 

Q1:タイトルロゴの意味は?

 

A1

 

・灯台の水たまりのイメージ(年代の違い)

 

・油が輝く色の変化のような感じ(?)

 

・いろんな案が出ており、「行くぜ!東北!」みたいなものもあった

 

・訓覇氏的には、力をぬいた(リラックスした)入り口のようなものをイメージしていた

 

 

 

 

 

 

 

Q2: クドカンが語ったという本人が意図しなかったという最終回の意味は?

 

A2

 

・この件に関して、訓覇氏とクドカンは話していないとのこと

 

・最終回になるに従い、物理的(セットや撮影時間など)の調整が大変で、台本をスケジュールに合わせていくことを話していたのかもしれない

 

23週と26週に関しては、いろいろと葛藤がある。クドカンは話さないだろうが

 

 

 

 

 

 

 

Q3;伏線は初めから、後から?(特に、ジオラマと、さかなクン)

 

A3

 

・仕込みとongoing(進行中)がある。いろいろである。

 

・クドカンはやろうと思えば、全部できると思うけれども

 

・自然発生的なものもある

 

・初めから大枠はあるが、すべては決めてはおらず、それぞれ収束させていく方向

 

・ジオラマは1年前からのアイディアで、初期のプロットから存在

 

・さかなクンは、終盤にでたアイディア

 

・さかなクンの登場は、決定稿で出てきた

 

・さかなクンの実際のエピソードは、ドラマの前(久慈市名誉市民、水族館への寄付)

 

・クドカンから「ギョギョ」で行きたいとの話があった

 

・「見つけてこわそう」は、アキと人形(おじいさん)としゃべる話だった

 

・さかなクンの登場によりアキちゃんはアシスタントに、おじいちゃんは浮いたキャラに

 

・おじいちゃんの吹き替えは、吉田氏が行ったという衝撃の発言!

 

・訓覇氏「さかなくんはどうですか?」のメールがクドカンからあったと思いだした

 

 

 

 

 

 

 

Q4:震災直後に、アキが北三陸に戻ったシーンで、視聴者に見せたかったものは?

 

A4

 

・朝に震災の光景を見せてはいけないという気持ち

 

・どのタイミングで、アキが北三陸に戻るのかは議論があった(震災直後やGWなど)

 

・アキのセリフがないのは、話してしまったらシラけてしまうから

 

・アキのセリフがない代わりに、ナレーションや、「岩手県と戦っている」などがある

 

・正直な話、ナレーションにある「アキもどうしていいか、わからない」に尽きる

 

23週の春子の「最終回じゃないのよ」のセリフが印象的

 

 

 

 

 

 

 

Q5:ドラマ内で音楽を使用するにあたっての苦労話は?

 

A5

 

DVD/ブルーレイ化にあたっての「ブリっ子」に件に関しては、なんのトラブルもない

 

・権利に関してはとにかく大変

 

・特にクドカンの脚本は実名だから大変だった

 

・社則的な決まりがないので、判断はたいへんだった(プロデューサが判断)

 

・決まっているのは、商品名がNGなことだけ

 

・(ここはデリケートな表現だが)クレームがなければ良い。傷つく人がいなければ良い

 

・「あまちゃん」オリジナルの曲が多かったことが救いでもあり、たいへんでもあった

 

・オリジナル曲は、放送中は一瞬でも役者は、一曲うたって踊れる練習をしている

 

・暦の上ではディセンバーで、(苦労の)限界だった

 

・もう一曲、地元でかえろうで、やめようという話があった(オリジナル曲をやめる?)

 

・薬師丸さんが歌う潮騒のメモリーズの撮影時は、観客の気持ち(吉田氏談)

 

・能年さん以外のオーディションの話では、GMTの話があった

 

GMTのキャスティングの際は、訓覇氏しかいなかった(訓覇氏は、当時、ご立腹)

 

GMTのキャスティングに関して、クドカンは、その土地出身、ネイティブな方言がmust

 

・橋本愛や有村架純もオーディションに参加していた(他の役のキャスティングも同時)

 

・小野寺役のみ年齢制限でオーディションを受けていない

 

 

 

 

 

 

 

Q6:朝ドラをつくるにはどうしたらよいか?

 

A6

 

・(冗談交じりに)、これって、現実の話でこたえればいい?それとも大喜利?

 

・(冗談抜きにいうと)まず、NHKを受けること

 

・学生の時、朝ドラはセンスがない最低のドラマだと思っていたと訓覇氏は語った

 

 もちろん、今は違うそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

Q7:アニメ(鉄拳)の採用については?

 

A7

 

・当初、台本には“アニメーション ?”と書かれていた

 

NHKのニュースっぽいものを考えていた(北三陸市への経路・交通機関の説明部分)

 

・当時、鉄拳の「振り子」を吉田氏が見て感動した

 

・台本にある“へびの実写”は、NGだと思っていた

 

・水野晴朗さんの声は、このシーンがいる/いらないのこだわり(公演の録音を遺族に許可)

 

・おめでた弁護士のタイトルの3秒間にもこだわって作っている

 

 

 

 

 

 

 

Q8:アドリブはあるのか?

 

A8

 

・アドリブは99%ない

 

・ピントがボケていたとしても放送されているものがあり、役者の動きのアドリブ的要素はあった。

 

 

 

 

 

 

 

Q9:バラエティ系でない情緒表現の回でも吉田氏で撮影した理由は?

 

A9

 

・該当するのは:アイドルになりたいといったアキが反対され、春子に打たれる回

 

・該当するのは:ユイちゃんと春子のあばずれの食い物の回

 

・「ドラマを撮ってきた人ではどう撮ったらいいか」と思う時には、吉田氏を起用した

 

・チーフディレクターの井上氏は一部、二部の始まりを撮っている(吉田氏談)

 

・吉田氏は、場面が変わるシーンを撮っている(吉田氏談)

 

・アキが春子に打たれるシーンは、本気で打たれており、実際の能年さんが芸能界デビューする際の本人とオーバーラップした(吉田氏談)

 

・アキが春子に打たれるシーンは、その後に、金色夜叉を模したシーンを入れる案があったがボツになった。

 

 

 

 

 

 

 

Q10:能年さんがあまロスになっているときいたのでなんとかしてほしい

 

   鈴鹿さんの♪三代前からマーメイド~を再度聴きたい

 

A10

 

・「努力します」の回答のみ。それ以上は言えないとのこと。

 

 

 

 

 

 

 

Q11:薬師丸さんのキャスティングについて

 

A11

 

・最初からストーリー設定はあった

 

・(音痴の女優が、練習をして、最終回にきれいな歌声でリサイタルという設定は)良い話だけど、不安だった。奇天烈な話だから(訓覇氏談)

 

・第2部から、ナレーションがアキになったのは、若春子を表現するのに“ママ”ということばを使いたかったから。

 

 

 

 

 

 

 

【終演前】

 

 ラストは、映像関係のクリエイター志望の方々に対するメッセージをということで、訓覇氏、吉田氏がそれぞれ語った。

 

 

 

 

 

 

 

訓覇氏のメッセージ

 

「私自身、いろんなことをやってきて、いろいろ失敗して、ようやく、最近すこしわかってきた。」

 

15分とか、短くていいから、なにかをいくつも作ってみて、つくりつづけてみて、ボロクソにいわれたち、ほめられたりしてください。それが大事。」

 

 

 

 

 

 

 

吉田氏のメッセージ

 

「小さなリアリティにこだわらず、感情のリアリティを追及してほしい。」

 

「ひとを喜ばす目線で取り組んでほしい。」

 

「共有できる面白さの追求をめざしてほしい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、ひとつ質問があがった。

 

Q:訓覇氏の3つの博打があたったから、あまちゃんはヒットしたのか?

 

A

 

・アイドルの部分は、大きな博打。自分の業界を出すのは、寒くないですか?(吉田氏からの質問者への問いかけ)

 

・吉田氏いわく、「訓覇氏は博打を打ち続けている人。今回は、アタッた。ハマった。ということで、ゴマをすっておきます。」とのこと。

 

 

 

 

 

 

 

以上で、ワークショップは退場する訓覇氏、吉田氏への感謝の拍手に包まれての終演となりました。

 

 

 

 

 

 

 

博打は、アタるとおもって賭けるわけで、そこに自分の経験や人脈といった最高のリソースを投入できることは、ヒットの要因の大部分を占めているのではないかと考えました。

 

 兎にも角にも4時間いじょいうに渡る長丁場を飽きることなく過ごすことができ、大変有意義でした。おそらく話したりないこと、聞き足りないこともあると思うので、またこういった機会があることを臨む次第です。

 

 

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